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【Impact DePINの可能性】
以前のニュースレターでCARBONCopyがImpact DePINに関するレポートを公開したことを取り上げましたが、最近Impact DePINとカテゴライズされるような「エネルギー効率化×DePIN」をテーマにしたプロジェクトが増えてきました。今回のニュースレターで後述するProject ZeroもImapct DePINに分類されるように思います。今回はImpact DePINの可能性について、少し考察を書いてみたいと思います。
DePINについての説明は割愛しますが、2023年の下半期ぐらいから注目のバズワードとしてよく見かけるようになりました。代表的なプロジェクトは、Helium、Hivemapper、DIMO、Filecoin、io.netなどが挙げられます。DePINの基本的な考え方は、トークンインセンティブによってインフラネットワークを構築することです。構築されるネットワークの定義は幅広いですが、分散型の地図、分散型の通信ネットワーク、分散型ストレージ、分散型GPUデータセンターなどになります。その他、広義ではユーザーから集めた気象データ、健康データ、車両データなどのデータベースも含まれることがあります。このようなDePINプロジェクトがインパクト経済エコシステムと相性が良いと考えられ、主に下記の理由などがあると考えられます。
トークンインセンティブで、新しいインフラネットワークを構築することを促進
これまで構築することにメリットのなかったインフラネットワークを、トークンインセンティブによって構築することを促進できる可能性があります
例)Project Zero
トークンインセンティブで新たな収益機会を創出
日常生活の中で得られるデータを提供することで、マネタイズできる可能性があります
例)Hivemapperを車に取り付けることで、トークンを獲得できる
データセンターを置き換えることで温室効果ガスを削減できる可能性がある
分散型のGPUデータセンター、GPUマーケットプレイスなどのより、大規模なデータセンターを運用するよりも温室効果ガスを削減できる可能性がある。AI向けにGPUパワーを提供するためのDePINプロジェクトが複数ありますが、それらによって提供されるGPUを活用した方がコストも下がり、排出する温室効果ガスも削減できる可能性があると考えられます
例)io.net
今回はImpact DePINについて、考察を巡らせてみました。上記に相性が良い理由を挙げましたが、DePINの一部のプロジェクトは初期投資として専用の端末を購入しないといけないデメリットがあります。トークンインセンティブを獲得する前に、初期投資をしなくてはいけないというハードルがありますが、これらをGameFiのスカラーシップのように委託するようなビジネスモデルも今後登場してくるとも考えられます。現在Web3において最も注目されているDePINと、ReFi(インパクト経済)がどのようにコラボレーションしていくか楽しみですね。
ReFi プロジェクト紹介🤝
■プロジェクト名:Project Zero
■概要:Project Zeroは、イギリスを拠点に活動する再生可能エネルギースタートアップであるFuseによるプロジェクトです。Fuseは、イギリスで再生可能エネルギー用の独自の送電網を築いており、通常の電力プランよりも安価になるような電力プランを提供しています。またリアルタイムで各家庭などで使用している電力量を測定することが可能なアプリをローンチしており、Fuseのプランの安さをシミュレーションすることもできます。Fuseは、再生可能エネルギーが普及しない最も大きな理由は、現状の送電網の対応が間に合っていないからと考えています。そこで、再生可能エネルギーに特化した送電網を構築するために「Project Zero」の立ち上げを発表しました。
Project Zeroの立ち上げのために、Multicoin Capitalをリードにして1,200万ドルの資金調達の完了を発表しました。Project Zeroとしてトークンを発行することはすでに決まっており、イギリス以外の地域では規制上の問題でサービスをローンチすることはできないかもしれないとのことです。送電網が普及しない問題をトークンインセンティブを活用することで分散的に運営することを目指しているようです。トークンはSolana上での発行を予定しているようで、このようなDePIN的な側面のあるプロジェクトがどんどんSolanaエコシステムに集まっているようにも感じます。
ReFi ニュース📰
最近のReFiに関するニュースをお届けします。
■ Regen NetworkとecoTokenがSolana Foundationのカーボンニュートラルをサポート
Solana財団が、Regen NetworkとecoTokenと提携し、2023年のカーボンニュートラルを達成しました。財団は高品質なカーボンクレジットと生物多様性クレジットを購入し、米国の都市林とコロンビアの熱帯雨林の保護に貢献しています。このトランザクションはWeb3のトークン化されたエコクレジットを使用し、透明性を確保しました。ecoTokenのプラットフォームにより、一般ユーザーもSPLトークンでカーボンオフセットや生物多様性保護に簡単に参加できるようになりました。この取り組みは、ブロックチェーン業界における環境責任のリーダーシップを示し、業界全体の持続可能性への取り組みを促進することが期待されています。
■ カーボンマーケットプレイスNoriが閉鎖を発表
カーボンマーケットプレイスのNoriが事業の閉鎖を公式に発表しました。共同創業者のAlexsandra Guerraが LinkedIn 投稿で明らかにしました。CEOのMatt Trudeau氏は閉鎖の理由として、ボランタリーカーボンマーケット(VCM)の停滞と厳しい資金調達環境を挙げています。これは今年6月に海洋炭素除去企業Running Tideが閉鎖して以来、VCM需要の不足による2例目の注目すべき閉鎖となります。自然由来の炭素除去と炭素農業のパイオニアの一つであるNoriの閉鎖は、二酸化炭素除去(CDR)業界に波紋を広げています。
著者(F太郎)もかつてNoriのサポートに携わっていたこともあり、この閉鎖のニュースは大変衝撃的でした。Noriがこれまで新しいアイデアと将来のカーボンマーケットプレイヤーのために道を切り開いてきた功績は大きく、業界関係者からも高く評価されています。著者としても、Noriのこれまでの先駆的な活動に対して深い感謝の意を表したいと思います。
■ Flowcarbonが7000万ドルを投資家に返金、GNTトークンプロジェクト頓挫
カーボンクレジット業界は現在、変革の時期を迎えています。ブロックチェーンベースのカーボンクレジットスタートアップFlowcarbonが、「Goddess Nature Token」(GNT)プロジェクトの見直しを行い、投資家に7000万ドルを返金することを決定しました。この決定は、業界が直面している課題と同時に、より強固な基盤を築くための慎重な姿勢を示しています。
WeWorkの元CEOであるAdam Neumannが共同創業者のFlowcarbonは、市場環境の変化やカーボン登録機関との調整など、複数の要因をプロジェクト見直しの理由として挙げています。特に、ボランタリーカーボンマーケットがカーボンクレジットの品質向上に注力している現状を反映した決定と言えるでしょう。
2022年、Flowcarbonはアンドリーセン・ホロウィッツなどの著名な投資家から7000万ドルを調達し、そのうち少なくとも3800万ドルがGNTの販売によるものでした。GNTは、1トンの二酸化炭素を大気から除去または環境への排出を防ぐカーボンクレジットによって裏付けられるトークンとして構想されていました。
この見直しは、カーボンクレジット業界が直面している課題を浮き彫りにすると同時に、業界全体が質の高いクレジットの創出と取引の透明性向上に向けて努力していることを示しています。最大手のカーボンクレジット認証機関であるVerraによる2022年の規制変更も、長期的には市場の信頼性向上につながる可能性があります。
カーボンクレジット業界は引き続き、気候変動対策において重要な役割を果たしています。技術革新と規制の進化を通じて、より効果的で信頼性の高いカーボンオフセットメカニズムの構築に向けた取り組みが続けられています。Flowcarbonの決定は、この過程における一時的な調整であり、業界全体の長期的な成功と持続可能性に向けた前向きなステップとも捉えられます。
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メンバー紹介
■F太郎(KlimaDAO)
Web3でカーボンクレジット市場の課題を解決するKlimaDAOのContributorとして活動。
■ビニール(Fracton Ventures)
Web3 IncubatorであるFracton Ventures所属。レコード好き。
■村瀬雄哉
ソーシャルビジネスに興味を持っている大学2年生。
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