新年一発目のニュースレターです
【クリプトによる寄付を考察する】
このたびの能登半島地震により被災された皆様、ならびにそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
今回の震災で、少し話題になったのが「クリプト(暗号資産)による寄付はありか、なしか」という論争です。1/1に震災があり、当日にYahoo!基金などのWeb2プラットフォームが募金を開始しました。そして、その翌日にWeb3プロジェクトとしてAstar Networkが、ネイティブトークンのASTRによる寄付の受付を開始しました。
同日に、Fracton VenturesがEtherium mainnet及びLayer2ネットワークによる寄付の受付を開始しました。(推奨募金通貨: ETH, USDC , DAI)
ReFi JapanはGitcoin GGで頂戴した活動資金から、こちらに0.05ETH(Optimism)を寄付致しました。
そしてほぼ同時刻に、日本発のゲーム特化のブロックチェーンプロジェクトOasysがOAS (Oasys), ETH (Ethereum, Polygon), BTC (Bitcoin)による受付を開始しました。
いずれのプロジェクトも短期間で募金の意思決定を行い、プラットフォームを構築・周知した点は非常に素晴らしいと思う一方、一部の方からは、①寄附したコインは利確扱いになる点、②寄付金控除が受けられない点、③そもそも最後に円に換えて寄付先に寄付するのでクリプトで行う意味がない、といったコメントがされていました。
①と②については現状、税制の観点から仕方がないが、③については筆者(F太郎)個人的には「意味がある」と考えています。
理由としては、グローバルからも寄付を集められる点、また、通常の寄付はしない(関心がなく情報が届かない。または関心はあるが通常のプラットフォームでは寄付をしたくない、など)層からも集められる点にあります。
実際、上記の3つのクリプトによる寄付についてどのくらいの金額が集まっているかというと、1/10時点でAstar Networkは約716万円、Fractonは約60万円、Oasysは約737万円(OASとETHとBTCの合計)となります。これらの寄付は、本来のweb2のプラットフォームでは集まらなかったものを集められたという見方ができます(もちろん、クリプト募金がなくても通常の方法で集まった金額も含まれていると思います)。グローバルからの寄付について、クレジットカードで受け付けているプラットフォームもあるので、そこからでも問題ないのでは、という意見もあると思いますが、少なくともクレジットカード会社の手数料5%ほどはかからない形で寄付先に届けられることになります。
一方、「最後に円に換えて寄付先に寄付する」という点は、せっかくのクリプトのメリットを活かせていないと感じており、そこがあえてクリプトによる寄付をする必要がないといわれる所以だと思われます。また、せっかく個人間で送金できる仕組みであるのに、寄付を集約して、最終的に団体を経由して被災者に届けられるという点や、そこに透明性がない点も、少し残念だと感じます。
それらの解決策として、70億円以上も集めたウクライナの「暗号資産寄付プラットフォーム」がヒントになるかもしれません。
これは政府自身が立ち上げたプラットフォームであり、シンプルな操作性でweb3ウォレットとのコネクトも可能、そして13種類のクリプトに対応しています。
あらかじめ日本政府がこのようなプラットフォームを持っており、有事の際にオープンし、そこから集めた寄付を、登録済みの支援団体やマイナンバーに紐づいた被災者のウォレットに送付する仕組みがあれば、クリプトによる寄付もかなり発展すると考えられます。
ReFi ニュース📰
最近のReFiに関するニュースをお届けします。
■ Solana Foundationが2022年の排出量をオフセットし、カーボンニュートラルに
Solana Foundationが2023年12月に、エネルギー使用に関するレポートを公開し、2022年にSolana Networkによって排出された10,901.2トンの排出量をオフセットしたことが明らかになりました。Regen NetworkとSunrise Stakeを通じて、オンチェーンでオフセットが行われました。
またSolanaはノードソフトウェア経由で、正確に排出量を測定することが可能になっており、これらを確認するためのダッシュボードである「Solana Climate」をTryCarbonaraと共同開発しています。
PoSの普及によって、どこのチェーンも排出量が横ばいな中で、Solanaのようにオフセットして、カーボンニュートラルに取り組むのはとても良い試みですね。過去には同様の取組みをPolygonやNearも行っていました。
■ UNDPがAlgorand Foundationと共同でBlockchain Academyを開設
貧困や格差、気候変動対策に取り組む国連の主要機関である「UNDP(国連開発計画)」とAlgrand Foudationが提携し、Blockchain Academyを立ち上げることが発表されました。このAcademyはUNDPのスタッフ向けで、ブロックチェーン技術を学ぶことで、今後の開発への応用に活かすことが目的とされています。
カリキュラムでは下記のテーマがフォーカスされる予定です。
児童労働などの問題に対処するためのサプライチェーンの透明化
より幅広い投資家アクセスのための実世界資産のトークン化
社会的・金融的インクルージョンのためのデジタルIDソリューション
Algorand Foundation以外にもエコシステムパートナーとして、HesabPay、Wholechain、Koibanx、Quantum Templeなども参画することが発表されています。
■ DeSci JapanとKlimaDAOがイベントを東京で共催
DeSci JapanとKlimaDAOが共同で、1月19日に東京にてイベントを開催されます。KlimaDAOと共同で海外市場におけるDeSciとDAOのユースケースに関してディスカッションを行い、将来的なDeSci市場の発展にむけた教育啓蒙を目的としたイベントとなります。イベントにはKlimaDAOのFounderであるGiorgio Donà-Danioni氏が登壇されます。参加受付ページはオープン次第、共有いたします。
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メンバー紹介
■F太郎(KlimaDAO)
Web3でカーボンクレジット市場の課題を解決するKlimaDAOのContributorとして活動。
■ビニール(Fracton Ventures)
Web3 IncubatorであるFracton Ventures所属。レコード好き。
免責事項
当ニュースレターの目的は、暗号資産やトークンの購入や売却などを勧誘するものではありません。掲載されている情報は、誤りがある可能性があります。当ニュースレターのご利用により、被害・損害などが発生したとしても、ReFi Japanは一切責任を負うものではないことをあらかじめご了承ください。また、当ニュースレターは閲覧及び情報収集のみの目的にてご利用いただき、無断複製や転載などは行われないようにお願いいたします。