特集のため普段のニュースやプロジェクト紹介はお休みとなります
特集:KlimaDAOを巡るReFi騒動
3/11 - 12の週末、クリプト界隈はSVB(シリコンバレー銀行)の破綻や、それに伴うステーブルコインのUSDCのデペッグで話題が持ち切りだったが、その陰で、あるReFiプロジェクトの不正疑惑に関するリークがありました。
それは、ReFiを牽引してきたとも言えるKlimaDAOが、ポンジスキームであるという内容です。
しかもそれをリークしたのは、多くのReFiプロジェクトの中心となっているReFi DAOのFounderのjEであり、ReFi関係者の間ではかなりの衝撃的な出来事となりました。
その翌日にKlimaDAOから本疑惑に関する反駁ツイートもあり、事実関係は今のところ不明です。
ReFi Japanでは、今後のReFiを左右する本騒動に関して、中立的な立場で現在の情報をまとめたいと思います。詳細をより詳しく知りたい方は、引用しているツイートやリンクをしっかりご確認いただければ幸いです。(KlimaDAOについてはReFi ニュースレター #1でも紹介しているのでご参考下さい)
※本ニュースレター発行の数時間前に、jEが元ツイートを削除したため、jEがリークした内容に関する詳細はカットすることとしました。
現在の状況(まとめ)
3/11(土)
jEから以下のツイートでKlimaDAOの一連の疑惑を報告(現在本ツイートはjE自身によって削除)


ReFi DAOからもjEのツイート内容を支持する声明を発表


その後、何人かの内部告発者から連絡があったとツイート。著名なReFiリーダーの関与も示唆。 内部告発デスクを設置。


3/12(日)
KlimaDAOから一連の騒動に対する反駁のツイート


3/15(水)
一連の疑惑はjE個人の問題ではなく、より大きな問題である、と述べ、元のツイートは削除された

jEによるKlimaDAOの疑惑とKlimaDAOの反駁
事の発端となったjEのツイートは削除されたため、詳細はカットすることとしました。
そこで今回は疑惑の一つであった「ゾンビプロジェクトのトークン化問題」についてのみ紹介することとします。
まず本件の詳細を理解する上でKlimaDAOと、ガバナンストークンであるKLIMAの仕組みが重要となるので説明します。
KLIMAは、カーボンクレジットのインデックストークンである BCT (ベースカーボントン, 1tのCO2に相当) をKlimaDAOのトレジャリーにロックすることで発行される「BCTに裏打ちされたトークン」となります。
BCTは、カーボンクレジットの大手認証機関であるVerraが認証したクレジットが、Toucanプロトコルのブリッジによって、ブロックチェーン上に載せられ、さらにそれがプールされコモディティ化されたトークンです。
KlimaDAOは、Verraのオフチェーンクレジットを、積極的にオンチェーンに載せ、さらにそれをロックしてKLIMAの発行を推奨することで、どんどん現実世界のカーボンクレジットの量を減らし、クレジット価格の上昇とクレジット創出を促し、大気中のCO2を減らす構想を立てていました。
しかし、このVerraクレジットのオンチェーン化・コモディティ化が可能になったことで、ゾンビプロジェクトと言われる、品質が低かったり、問題があったりして、これまで取引が行われてこなかった古いプロジェクトのクレジットが積極的にBCTへと変換されることとなりました。なぜなら、それらを購入し、BCTに変換し、さらにそれをロックしてKLIMAを発行して売却することで、大きな利益を上げることができたからです。これにより、KLIMAやクレジットの価格が高騰しましたが、すぐにバブルは弾け、それらの価格は急落しました。この話題は日経新聞でも取り上げられております。
これはゾンビプロジェクトのようなクレジットまでBCTに変換できることが問題であり、現在はVerra側から一部のクレジットに対しオンチェーンへのブリッジは禁止されています。
今回のjEのリークによると、KlimaDAOの初期メンバーはこの問題を最初から知っていたが、何も対応せずに進めたとのことです。
KlimaDAOはそれに対し、BCTは、オンチェーンでの十分な流動性を確保するため、市場で最も広く使用され消費されるカーボンクレジットを代表するプールとして選ばれており、その後の検証でも問題はなかったことがわかっているとコメント。
またコンプライアンス市場で禁止されていたHFC-23カーボンクレジットについては、Verraが段階的に廃止している時期にオンチェーンにブリッジされたが、現在はToucanによってブリッジは禁止されており、またBCTプールにあった約 672,000トンのHFC-23クレジットはKlimaDAOの投票によって廃止が決定し、現在は削除済みであると説明しています。
F太郎:
本騒動は、ReFiの未来を作っていく上で重要な出来事だと考え、皆様に知っていただくため記事にすることとしました。個人的に、これまで協力関係を続けていたReFi全体が分断するように感じ、ショックを受けましたが、気持ちを切り替えて、引き続きReFiのエコシステムが発展するように努力していきたいと思います。
ビニール:
KlimaDAOもReFi DAOも、ReFi領域では有名であり、本ニュースレターを読んでいる方々からしたら、聞き馴染みもあるかと思います。本騒動については、今後どのような広がりを見せるかわかりませんが、情報は追っていきたいように思います。まだまだこれからのReFiなので、「痛みを伴う成長」ということで、これを機に進展していくことを願います。
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メンバー紹介
■F太郎(Nori)
ReFiプロジェクトであるNori所属。ペンギン好き。
■ビニール(Fracton Ventures)
Web3 IncubatorであるFracton Ventures所属。レコード好き。
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